個人事業主・フリーランス向けに、領収書やレシートがもらえない場合の「出金伝票」の書き方を解説します。ご祝儀や電車代など、ケース別の見本も掲載しています。
目次
領収書やレシートがもらえない場合は「出金伝票」を作る!
必要経費を払ったら、領収書やレシートを保管しておくのが一番です。ただ、領収書やレシートがもらえない取引もあります。そんなときは「出金伝票」を作っておくと安心です。

領収書が発行されない費用の例
- 電車賃やバス代などの交通費
- 取引先へのご祝儀やお香典
- 接待で割り勘したときの食事代
- フリマで購入した商品の代金
また、領収書をもらい忘れたり紛失した際も、出金伝票を活用して構いません。ただし、あくまでも領収書の代用なので、多用は避けましょう(詳しくは後述)。
出金伝票の書き方【見本付き】

出金伝票に定められた形式はありませんが、以下の4項目は必ず記録しておきましょう。
- 日付…………取引のあった年月日
- 支払先………取引相手の名前
- 取引内容……勘定科目や摘要
- 金額…………取引の金額
作成方法は自由ですが、市販の出金伝票に手書きで記入するのが一般的です。たとえば、電車賃を出金伝票に記入する際は、以下のように書いておきましょう。
① 日付・支払先を記入する
取引のあった年月日と、支払先の名前を記入します。支払先は、個人相手なら相手の氏名を記入します。企業が相手なら、会社名などを記入しておきましょう。今回のように電車賃なら、そうだと分かる名称を書いておけばOKです。
② 勘定科目を記入する
取引の勘定科目を記入します。今回の場合は電車賃なので「旅費交通費」と記入しておきます。
③ 摘要を記入する
摘要の欄には、取引の情報を記入します。たとえば、取引先の訪問でかかった交通費なら「〇〇社 △△の件 打合せ」などと、具体的に記入しておくと満点です。
④ 取引金額を記入する
それぞれの取引について、かかった金額を記入します。数字の末尾には「-」の印を書き加えておくとよいです。こうすれば、後から数字を書き足せません。
⑤ 合計金額を記入する
取引の合計金額を記入します。数字の先頭には「¥」マークを、末尾には「-」マークを付けておきましょう。上と同様に、これも書き足しを防止する目的です。取引がひとつしかない場合は、④と同じ金額を記入すればOKです。
ここからは、記入で迷いやすいケース3つを取り上げて説明していきます。
記入例① 結婚式のご祝儀
取引先の冠婚葬祭に参加した際の費用は「接待交際費」として経費に計上できます。たとえば、取引相手の結婚式でご祝儀を渡した場合、出金伝票は次のように記入します。

結婚式やお葬式などにかかわる費用の出金伝票を作成する際は、領収書の代わりとして、招待状や会葬礼状などのコピーを一緒に保存しておきましょう。事実を証明する有効な材料になります。
記入例② 割り勘の食事代
レストランや居酒屋などの飲食代は、接待目的の利用であれば割り勘の場合でも「接待交際費」として経費にできます。「割り勘で、領収書をお客さんにあげてしまった」なんて時には、以下のように出金伝票を記入しておきましょう。

飲食代は、お店が発行する領収書やレシートをもらうのが基本です。後から見てもわかるように、摘要欄には割り勘で支払ったことをメモしておきましょう。
記入例③ 電車代やバス代
電車代やバス代は領収書がそもそも発行されません。そのため、これらを経費計上する際は、帳簿に記帳するだけでOKです。ただ、区間や使途を細かく記録しておきたい場合は、出金伝票を併用すると便利です。
たとえば、JRから地下鉄に乗り継いだ際の電車賃は、次のように出金伝票へ記録しておきましょう。ここまで書けば、とても丁寧です。

なお、Suicaなどの交通系ICカードで支払えば、駅の券売機などで直近の利用履歴を印字できます。利用区間と料金が記載されているので、証憑として保存しておきましょう。
交通費はまとめて記録してもよい
交通機関の利用頻度が高い人は、エクセルなどでまとめる方法がオススメです。週や月の単位でまとめておけば、いちいち出金伝票を作成しなくて済みます。

この方法にも、特に様式の定めはありません。上図のような項目が分かるよう記録しておきましょう。
出金伝票と領収書の取り扱いの違い
領収書と出金伝票は「証憑(しょうひょう)書類」としての信頼性に差があります。証憑書類とは、取引成立などを証明するための書類のことです。
たとえば以下のような書類が、必要経費の証憑として扱えます。一般的に、証憑としての優先順位が高いものから列挙しています。
- 領収書、レシート
- 請求書
- 納品書
- 出金伝票
領収書やレシートは、お金を受け取る側である“第三者”が発行します。このような書類は、証憑書類のなかでも信頼性の高いものとして扱われます。
一方で出金伝票は、あくまでも自ら発行したものなので、証憑としての有効性は低いです。これを多用するのはおすすめできません。どうしても領収書がない場合のみ利用するようにしましょう。
出金伝票に関する疑問【Q&A】
- 出金伝票には押印が必要?
- 押印はとくに必要ありません。日付・支払先・取引内容・金額などが書いてあれば十分です。
- 領収書をなくした場合も出金伝票で代用できる?
- 領収書やレシートを紛失した場合も出金伝票を作っておくのがおすすめです。ただ、もちろん多すぎると税務署に疑われやすくなります。
- 出金伝票の保存期間は?
- 領収書やレシートと同様に、7年間保存しておくのが基本です。税務調査は、最長で7年前の分まで遡って行われる可能性があります。
- 出金伝票をエクセルで作っても大丈夫?
- エクセルで出金伝票を自作しても問題ありません。日付・支払先・取引内容・金額などが記録してあれば、基本的にフォーマットはなんでもOKです。
まとめ
領収書の発行されない出費があった際は、出金伝票を発行しましょう。必ず記載しておきたい情報は「日付」「支払先」「取引内容」「金額」の4項目です。

出金伝票は、100~200円前後で販売されています。何かと利用する機会があるので、事業を始めたら一つは備え付けておきましょう。
なお、作成した出金伝票は、一定の間保存しておく必要があります。たとえば青色申告者であれば、領収書やレシートと同様に原則7年間の保存が必要です。(帳簿や領収書の保存期間について)




